Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

QUIET LIFE IN BANGKOK

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2020/04/13

人前で演奏のできない日々はただひたすら退屈だ。最低でもあと2週間この感じが続くわけだが今月末ですべてが収束するはずもない。人類がCOVID19に対抗する手段を得て、皆が仕事を始め、すべてが落ち着いて初めて音楽って感じだろう。本当に収束するまでには年単位かかるだろうな…。さっきゴルフさんからメッセージが入って今週末は彼の家でセッションをすることになった。今も毎日出勤している身なので感染の不安は常に付き纏うのでどうしたもんかと迷ったが、流石にひとりで部屋で演奏をするのテンションを保つのが難しくなってきいていたので嬉しい誘いだった。この国のミュージシャンの友人の中では数少ない先輩からのお誘いだし、ここはその好意に甘えてみようという感じだ。ゴルフさんは人間的にも興味深い人だ。確固たる地位を築いているけど常に礼儀正しくて若い連中の世話もしっかりしていて、それでいて演奏中はなんだか浮世離れしていて子供みたいで愛されている。俺はよく彼と一緒に演奏している最中に noblesse oblige という言葉を思い浮かべる。俺は野良犬みたいなミュージシャンなので、彼の清廉さに感心することが多い。要するに彼の誘いは光栄だ。素直に嬉しい。楽しもうと思う。

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毎日窓の外の空を眺めながら日記のように毎日目的の無い演奏を続けているが、たくさんの人間が活動を控えているおかげでここのところのバンコクの夕空はとてもクリアで美しい。そういう意味ではこれをきっかけに俺たちの生活の在り様が変わっていくのは地球にとっては良い事なのだろう。もちろん人間の数が減ることも…。今日は雨が降って雷が鳴った。明日は街の汚れが洗い流されてもっときれいな空が見られるだろう。こうやって実感することでタイも環境が改善されるかも…とか考えてみるが、結局復興のための金が第一になるんだろうな。みんなが動き始めればまた空は排気ガスで汚れて混沌と喧騒が帰ってくる。

瀧 康太 - improvisaton with rain

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2020/04/14

夕刻、『あのぉ…人が足りないのでこちらの仕事終わりでアソークのオフィスに出勤できないかって依頼があるんですが…』『え…?アホか!とお伝えください』というわけで、その場の空気を凍り付かせつつ会社の管理者との間では相変わらず不機嫌剥き出しの対応が続いている。別に個人に対して恨みはないが、そのやり口が受け入れられない場合に不快感をしっかり伝えるようにしている。無神経且つ無礼な無茶ぶりは従順で真面目な皆さんにお任せして、最低限の仕事をこなす以外はマイペースでストレスをなるべく感じないように動く方が自分勝手な俺には良い。下手な我慢は大きな事故を招くし(笑)だいたいみんな我慢し過ぎなのだ。軋轢を避けて見て見ないふりをして、我慢こそが美徳というような考え方を美化して言われた通りやってきた結果が今の日本の人権軽視みたいな状況を作った一因であることは間違いないわけで、ある種自業自得でもある。キレてしまうのではなく不快感や納得できないことを伝えるために怒るのだ。面倒だけど付け込まれない為には必要なスキルなのだと最近は思う。演技と言っても良い。まあ、これから年寄りが引退してやり方が変わればこんなことは必要なくなるのかもしれないけど。

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演奏に関するメモ

タイのエフェクター職人 DUB HEAD に Oscillator 付きのオリジナル FUZZ PEDAL を注文した。残るは Rhythm Machine とMIDIクロックでシンクロできる LOOPER を手に入れる。とりあえず DOTTO ×4 か Infinity Looper が候補。パーカッション系の強いRhythm Machineとシンセを追加すれば機材整備は完璧。現状が長引いた時の為に一応LINE6のインターフェイスでネット中継する方法を今調べている。ネットで収益を上げる為のリサーチもしているが今のところレーベルに任せているので急いではいない。投げ銭スタイルで稼いでいるミュージシャンも多いけど、あれは音楽向きじゃない。DJや大道芸、Youtuberの稼ぎ方なので、今の俺のスタイルにはまったくもって向かないし何より嫌いだ。もちろん稼がないと死ぬけどここまで来たら貫くほうが良いと考えている。

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タイの感染者は減っていっているが鎖国状態は続くようだ。労働許可証を持っていても国王承認の許可証が必要ってことで出入りが難しくなっている…てかほとんど無理だ。冷静に考えて、日本にはしばらく帰れない。毎年この季節は王子公園や護国神社の桜、須磨の夜の海、友達のお店で食べる美味しい食事が心底恋しくなる。俺は不器用で商売の才能皆無のロクデナシだけど、日本とバンコクやアジアを演奏しながら行き来できるようになりたいとずっと夢見ている。今は無理でもいつか、音楽を磨き続けることでそれを成し遂げられると信じて歩き続けている。

 

嗚呼、マジで日本の桜が恋しい。