Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

バンコクの週末の夜の混沌にぶっ飛ばされる

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今夜はサトーンのJAMにてソロ。今日のセットはエクスペリメンタルノイズから美しいアンビエントって感じでいくつもりだが、珍しく明確な映像のイメージがある。少しライブを休んだのでリフレッシュされたようだ。悪くない。面白い演奏になると思うのでタイミングの合うバンコクの日本人の友人に見に来てもらえると嬉しい。メインのSCOUTLANDはマニアックではあるけど腕もいいしゆるいロードムービーのサントラみたいな美しい音楽をやるとても良いバンドだ。誰でも楽しめるはず。お薦め。

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昨夜は金曜の夜の交通渋滞でドツボにハマって久々の出動にバンコクのカオスの再洗礼を受けた。俺のアパートから機材を積んでタクシーで出るルートはペッブリー、トンロー、エカマイの3つの通り。昨夜はこのすべての通りが見事に停滞していた。先ず呼んだグラブタクシーがアパートまで辿り着けなかった。2台が途中で諦めて3台目から返信が来なくなった時点で1時間以上経っていた。その後トンローまで重い荷物を引きずって出ると、たまにしか通らない空車のタクシーの取り合いが勃発して荷物の多い俺はかなり不利な状況。次に俺がタクシーを止めるまでにもう1時間。やっと掴まえたタクシーも行く先を聞いて断ろうとしたので普段50バーツの道のりを間髪入れず『まてまて。200バーツ出す』と言ったら即OKになった。ハイテンションな運ちゃんは道中ご機嫌に喋り散らしながら送ってくれたが、結局会場の Parrish Jones Bangkok に着いたのは部屋を出て2時間半後だった。大幅な遅刻。まあ50人くらいがわいわい集っているライトなパーティーでシンガーは既に歌っていたので問題はなかったが…。途中から参加してしばらくPOPSに合わせて弾いた後でネイザンが《なんかやろうよ》と目くばせをするので少しフリーな音をやってみた。彼は長身ハンサムでキレイな声を持っているし歌も上手いんだけど、もともとPOPSを歌いたいってタイプではなくて、自称《Art Nerd所謂アートオタクなので有名な歌もコード進行が変だったりりリズムが変えてあったり。フリーフォームになって俺がループを回し始めたらえらく張り切って楽しそうにノイズを出していた(笑)サウンドシステムが無くて小さなギターアンプ2台で俺のペダルも歌のバッキング仕様で半分以下だったのでたいして込み入ったことはできなかったが、ネイザンの声も相まって面白い場面はあったし楽しんでくれた連中はそこそこいたようだった。終わってから話しかけてきたほぼ全員が見事に『I like your music』というまるっきり同じセリフを言った。アート/ファッション関係者が多い会場だったので身形の良い社交的な皆さんばかりで、俺は《社交辞令だな…》と思ってしまったがパーティーは始終良い雰囲気だったしどうでもよい話だ。一般的な礼儀ってもんだ。

帰る前に店の前でスタッフに挨拶するために待っていたら、洒落た色合いのシャツにタイトな黒のベストがクールな髪型っから眼鏡、アクセサリーにブーツまで全身隈なく高級アイテムでキメキメなのにしっかり身体に馴染んでいるイタリア人の兄ちゃんが通り過ぎた。えらい洒落てるなぁデザイナーかな?と感心して見ていたら目が合ったので軽く目礼を交わした後で15mくらい歩いて振り返るとなぜか彼は戻って来て、いきなり友人のように親し気な感じで話しかけてきた。

『Hey! 俺の店が次の通りにあるから飲みに来いよ』

『え???ありがとう。でも友人を待ってるんだ』と店じまい中の皆を指すと

『ああ、そうか。みんなで来いよ。機材運ぶの手伝うぞ』と言う。

『ありがとう。でも大丈夫だよ。ところでそのシャツかっこいいね。洒落てるよ』

『そうかい?ありがとう。じゃあ待ってるよ』

俺はてっきりスタッフの友人だと思っていて、この後飲みに行く約束でもしているのかと思ったが全然違って、挨拶をした後はそこで解散となった。《あれれ?さっきの何だったんだ?》と、通りがかりに路地を覗いたらそこは有名なナイトクラブ SING SING THEATER だった。あまりに親しげだったので《どこかで以前に会ったのか?》と気になって理由を聞きに少し飲んで行こうかと店の前でしばし悩んだが、演奏用の黒い衣装を着てハットをかぶった日本人のおっさんがデカい機材バッグゴロゴロ言わせながら時代遅れのでかいギターを担いで(おまけに昨日はギターアンプも持っていた)外人だらけのBARに入っていくと間違いなく注視される…めちゃめちゃ面倒臭いシチュエーションやな…で、結局止めた(笑)前からお店の存在は知っていたけど実際にしっかり見ると調度品が良くて演奏するにはとても良さそうな場所だったな。いろんな人がいたし。

その後タクシー5台連続乗車拒否。悪態をつきながらスクンビットをしばらく歩いてトンローの入り口辺りでやっとタクシーを掴まえた。乗り込んでホッとしたのも束の間、11時になっても大渋滞中。そこからトンローの奥まで行くのに1時間。普段はバイクで5分。歩いても25分くらいの道のりだ。センセーブ運河の橋の側道に入ってクソ渋滞を抜けた瞬間、『フゥーッ』とずっと黙り込んでいた俺と運転手が同時に深く息をついたものでふたりで爆笑。『ひでえな。トンロー抜けるのに1時間だぜ!』『ほんまやな~バンコクはクレイジーだわ(爆笑)』と妙なハイテンションなアパートまでの数分間。酷い1日だったがこれがバンコクの週末ってもんだと気が晴れた。マイペンライ