Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

Unfamiliar Environments - Art Exhibition & Tape Release Concert 後記

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昨夜は俺もリリースしたレーベル Unfamiliar Environments の新作リリースパーティー兼、プロダクションデザイナーであるレーベルのボス MATT のデザインした作品のエキシビジョンでもあった。アメリカ人の一般的なイメージとは違って身体は大きいのに物腰が柔らかくてシャイで声が小さくてオタクなMATTはタイに来てから初めてソロのステージをやるってことで緊張していたようだが音はとても良かった。性格ってのは確実に音に反映されるもので、彼の作るトラックは繊細で美しくとてもやさしい。一個として俺が知っているメーカーがないペダル類のチョイスに半端ないこだわりを感じた。厳選されたペダル類を通って出てくる空間系のエフェクト音は今まで聞いた中でも一番クリアだった。JAMで共演する連中にはオタク全開の変わり者が多いが(笑)やはり突き抜けたオタクってのはスゴイと昨夜は感心する場面が多かった。俺も充分変わり者だと思うが、彼等はスーパーマニアックな表現者であると同時に各々が大学で専門の教育を受けたプロフェッショナルな職人でもあるので最先端機材に関しての知識とPCのスキルがハイレベル。

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久しぶりの TOMMY はモジュラーシンセが増殖してすっかりシンセ奏者になっていた。相方の Nutchapon もモジュラーシンセを使っていて機材の見た目だけでも男の子心をくすぐられてテンションが上がる。TOMMYは音響の勉強で日本の大学院に留学するらしい。音のプロになると言っていたので研究者を目指すようだ。バンコクに来て演奏活動を初めてすぐに出会ってからの長い付き合いの友人である彼がこの街を去るのはもちろん寂しいが、キャリアアップってことで素晴らしいことなので応援している。

 

トリ前の出番だったが時間が押していたのでメインのバンドの為に急遽セットを短くした。結果、用意していたセットはやらずにその場で思いついたまま20分間弾いた。映像はセットの最初のほうで SAX の音は 日本の伝説的SAX奏者 阿部薫さんの即興演奏の一部をループの上に乗せた。明確なビートを一切出さない演奏をしたが、これは初めてのことかもしれない。昨日の出演者は皆素晴らしい演奏をしていて、嬉しくて機嫌が良かったもんで弾きながらずっと笑っている。機嫌がすぐに顔に出る。単純。セットが短すぎて最後にすごくハイな音を出そうと思っていたのができなくて残念だったが、この後のメインアクトのJAZZユニット SCOUTLAND (G+B+SAX+DRUM) とモジュラーシンセ奏者2名というなかなか見ない編成のセッションもすげえ良かったので何も文句はない。彼等の演奏終わりでダッシュで閉店(笑)俺が粘って弾いてたら間に合わなかった。

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昨夜はオープンリールの Tape Recorder がステージの横でずっと回っていた。レコーディングスタッフがしっかり横に付いていてアーティスト毎にテープを変えながらイベントが全篇録音されていた。出来が良ければリリースされるだろう。流石は生粋の Sound freaks の集会。オープンリールで録音ってのは粋だな。10代の頃にスタジオで録音に使っていた機種だったので郷愁と愛着を感じてテンションが上がった。テープコンプのかかった音はデジタルと違って暖かくて生々しくて好きだ。音源がもらえるので楽しみにしている。映像を出していたマイケルもただ映像を流しているわけじゃなくてJAVAを使って自分の書いた線をコントローラーでエフェクトして動かしていた。その場で書き換えているのを見て驚いて『今書いてるのか?』と聞いて説明してもらったが俺にはさっぱり…(笑)とにかくみんな出会った頃より格段にレベルアップしている。bravo!!

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そういえば東京から来たという日本人のカメラマンに『タキさん。初めまして。今日写真を撮ってもいいですか?』といきなり言われてビックリした。どこで見て知ってくれたのかわからないけど、どうぞどうぞってな感じで演奏始めたんだけど、その後連絡先を聞くのをすっかり忘れていた。プロの写真は良い資料になるので欲しかったな。良いイベントで機嫌が良い時ほど浮かれて何もかも忘れてしまう。そして今になって思い出してももう遅い。こういうフワッとしたところはいい加減に直さないと遺憾と思う。

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年月が過ぎ皆それぞれに変化していくが、俺は自分の演奏をする以外に興味を持てないままだ。ひたむきに努力している若いみんなの姿を見習って俺は俺の道を愚直に音の深淵を目指して真摯に進んでいこうと帰りのタクシーの中で思った次第。良い夜だった。