Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

日常に還る

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今回の断食は苦しむこともなく結構あっさり終わった。身体がスッキリしたので定期的にやるのも悪くない。普段は音楽自体のことしか考えていないが、今回は時間もあったので俺を取り巻くバンコクの音楽状況の整理もできて良い時間だった。

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ランドリーに洗濯物を放り込んでエントランスのカフェにコーヒーを買いに行ったらスタッフの子供が満面の笑みで迎えてくれた。かわいらしい。エカマイソイ23は相変わらずのベビーラッシュで人間も猫も犬も赤ん坊だらけで賑やかだ。そういえば暇つぶしにYoutubeでテレビのお笑い番組を見ていたら若手の芸人さんが『先輩方はブレイクする前に借金まみれになっていたけど売れて一発逆転って伝説を話すけど、今は法が整備されて俺たちは借金すらできない』と言っていたのが結構印象的だった。法整備が進んで法外な利息や不法な取り立てなどがなくなったのは良いが無茶もできないようになっているのですべてを計画的に進めなくてはいけない。普通に暮らすことができないような破天荒な人間は静かに埋もれていくしかない。小賢しくなっていくしか生き残る道はないわけだ。芸人といってもテレビタレントの話なので舞台は別だと信じたいが、時代の流れってのは変えられないのでこれは希望的観測だろう。平成も終わるが未だにどの場所でも社会に順応できていない俺のような人間はこれから先どこでどのように生きてしていけばよいのか…と悩ましい。

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バンコクでもここ数年いろいろなレーベルや音楽配信のサイトやらができているが、結局バンド系の音楽は衰退していってるように見える。単純に売るために細分化しているだけかもしれないが、音を聞いているとバンドである必要が無いって場合が多い。何をやるにしろ手広く皆さまのニーズに応えるってことを要求されるので身体性で勝負するバンド形態のミュージシャンにはきつい話だ。ミュージシャンは器用でなんでもできることの方が大事なのでひとつのことを掘り下げている時間はない。若手のミュージシャンはもちろんこぞってこの流れに参画して頑張っているが、商品化の段階で《個性》は消えていって結局は使い勝手の良し悪しの勝負になってしまう。努力してもそのシステムに向いていない人間は最終的には使い捨てられるだけで自己を磨くのに一番大事な時期を無駄に使うことになる。歪なものを歪なまま磨いていくってのは今では難しい。欠点を無くしていくことは同時に個性も削り落としていくことでもある。こらほんまに大変だ。要求されていることが会社員とあまり変わらない。使い捨てのパーツだ。残る道は自分が社長になってなんでも自分でやるってことだが楽器の演奏を極めつつ自分の音楽をしっかり作りつつ経営もできるってそんなスゴイ奴はなかなかいない。まったく厳しい時代になったもんだ。隅から隅まで無駄が無い。

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器用なだけではできないことがある。愚直に進むことでしか手に入らないものがあるのだ。社会的な成功って意味では時代に即したやり方をする方が正しいのは理解しているが、妥協した瞬間に消えてしまった感覚は二度と戻ってこない。人生は短いし何をするかは個人個人の自由だけど、特に今の時代に儲かりもしないミュージシャンという職業を志すならば、決断は状況に任せず常に自分自身で行うべきだろう。表現はあくまで個人のもので誰も結果には責任を持ってくれない。他人に任せると後悔することになる。

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いちばん大切なのは 自分だけのサウンド

それがない限り どんなメロディを演奏しても意味がない 

-MILES DAVIS-

 

A good place by the guitar is that isn’t told at school.

-Jimi Hendlix-