最近のなんだかんだ
そんなこんなで今年もソンクランがやって来た。今年は入っていたライブ予定が飛んだので無し。水かけ大嫌いなのでほぼ外には出ない(笑)基本的に俺は世間の行事にほとんど参加していない。遺憾とは思うが世間と言うものがいまひとつよくわかっていないし人付き合いというものが根本的にわかっていない。このままだと孤独死へまっしぐらって感じだがこれも自業自得で仕方ない。どうしようもないのですべて受け入れる。
木曜は夕方に今夜はリハーサルだから来てくれと言われたのでJAMに行ったが、ほぼ面識のないロシア系ファランのミュージシャンふたりしかいなくて首謀者が誰もいない。さてどうしようかと思いつつ軽く挨拶を交わして機材を並べてギターアンプに突っ込んで音を出したらふたりが乗って来たので誰もいない空間でしばしノイズセッション。ひとしきり音を出していたが、やってる意味がぜんぜん解らないので止めてタバコを吸ってJAMのディヤンに『なにがなんだかわからん』とメッセージを打ってしばらくすると俺を呼んだタイのノイズミュージシャンが現れた。
『今日リハやるの？映像は？』
『多分PCの中にあるけどよくわからない』
『ああそう。リハ無いならやりたいことあるし帰っていいかな？』
というわけで『もう帰るのか？』と驚くファランに『リハが無いなら他にもやることがある』と手を振ってあっさり機材を片付けて帰った。意味のない時間は苦痛だ。タイに来てから俺はこの手の判断が早くなった。意味がなければさっさと帰る。帰り道にタクシーの乗車拒否連発にムカついて道路脇で怒って吠えていたが、帰ってからやりたかった作業ができたので最終的には好判断だった。次の朝には通常の気分になれた。
即興セッションにおいて一番大事なのは間違いなく《コンセントレーション》だ。そしてそれを発揮できる状況を作ることだ。リハーサルもその演奏をそのままリリースできるくらい真剣にやらない限り意味はない。みんなとりあえず音を出したいというだけでリハーサルをやるようだけど、フリーフォームで特にノイズ系の音楽をやる場合は事前打ち合わせをやるのは無駄だ。なんせノイズなのだ。抽象的過ぎて打ち合わせのしようがない。目的をはっきりさせるためのミーティングだけで良い。いや、それすら意味が無い。完璧に状況を整えていきなり演奏するのが一番良い結果を生むというのが今まで繰り返してきての結論だ。《練習》がしたければやりたい奴等だけやれば良いのだ。ただ、フリーフォームセッションにおいて《再現》はありえないわけで中途半端な音の打ち合わせは大概は悪い方向に作用する。以前にも書いたが通常の演奏時に大事な《協調》がフリーフォームの場合は邪魔になる。表現するべきは個々の《相違》なので、あえて協調しないことでそれが立ち現れる。慣れていないミュージシャンは不安を打ち消すためにいろいろな手段で解り合おうとするがこれは逆効果だ。演奏に関係ないくだらない話をしている方がまだいい。飯の話とかいい女の話とかそんな話だ。そんなわけで俺はさっさと帰る。俺はいつでも準備ができている。楽器が揃っていて状況が整っていて目の前にお客さんがいれば今この場で演奏しろと言われたとしても何も問題はない。
ライブを減らして正直日々は退屈なんだけど、頭の整理をするのは大事なことだ。ここに来る前の暮らしは常に混沌としていて、弾き散らかして乱痴気騒ぎしているうちにいつの間にか日々が過ぎていた。ここ数年はたまに状況を整理しながら前に進んでいるのが間違いなく功を奏している。元はと言えば外国にいるってのにあまりにも無計画にやっていたもんでにっちもさっちもいかない状況に陥ったからで、目標をコンプリートするまで生き残って弾き続けるという一番コアな目標の為には最低限のことなのだが本当に阿呆なので気づくのが遅かった。この年齢で確実にスキルアップしているってことは以前どれだけ時間を無駄にしていたのかという証明でもある。
来週末はNoise Marketでソロとセッション。会場はサイアム博物館 (Museum Siam https://www.museumsiam.org/index.php ) ローカルエリアの素敵な外観の歴史博物館の敷地内で開催されるサブカル系マーケット。ショップを見に来るだけでも楽しいので是非どうぞ。暑いので夕方から来るのが良いでしょう。１年前にも同じ場所で弾かせてもらったけどこの１年でいろいろなことが変化したので雰囲気は変わっているだろうな…俺も昨年とは少し違う演奏をするだろうし。見に来る人が休日のゆったりした雰囲気を纏っているのでChill out setにベストなシチュエーション。今日明日はこれのリハーサルにあてる…って毎度演奏を楽しんでるだけなんだけど(笑)これの後で前述の映画とのノイズセッションが開催される。どうなることやら。
友人の孤高のギタリストYOSHITAKE EXPEがイタリアのオペラハウスで演奏するらしい。流石。普段はクールな感じだけど俺の知っている中で彼が一番情熱的で彼のおそろしく濃密な活動状況にはいつも刺激を受ける。
