Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

live ambient music

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俺の音は ambient music と言われることが多いので自分でもそう書くようになったが、もともとは2000年くらいに東京の楽器屋でループマシンを手に入れてソロやDJとのプレイをやり始めてひとりで試行錯誤した結果が今のスタイルの原型なので ambient music だとか improvisation だとかそんな洒落た言葉は知らなかった。その頃は作詞作曲がメインの仕事だったのでいろいろな楽器を楽曲制作に必要な時だけ弾いているという状態でギタリストとしての常識的な知識はほぼゼロだった。要はド下手糞だったしギター弾きでもなかったわけだ。その後もかなり長い間ギタリスト的な知識を一切勉強しないままひたすらライブで弾き続けた。もともとパンクが好きで始めた上に『誰にも影響を受けたくない』という偏屈な性格をさらに拗らせた状態でとにかく弾き続けるという力業で10年ほど進んだ。そしてバンコクに来て演奏しているうちに『もういいんじゃないかな…』とやっと思えてやっといろいろな音楽を聞き始めた。共演した素晴らしいギタリスト達の技術を素直に見て学べるようになった。ようやく猿から人間になったって感じだ。

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Live music にこだわっているのは今も変わらない。文字通り《生きた音楽》だ。特にlive ambient music に関してはその場にあるすべての音と演奏が交わるべきだと思っている。大概の場合、この手の音楽を演奏するのはアカデミック且つマニアックな皆さんが多いので作りこんだ自分の音だけで完結していることが多い。もちろんその音は繊細で美しいのでブライアン・イーノの音楽を流した時のように周囲を包んで空間を創るが、ライブで演奏する意味を求めるならばその音楽はそのままのはずがない。周囲のノイズと共にその場で音楽は変化していくのが自然の成り行きだろう。楽曲としての完成は録音物で表現できる。商品として考えれば同じものを提供するってのが商売ってもんなんだろうけど、音楽の話であればそれは生き物であり常に変化を続けるべきだと確信している。綱渡りではあるけどそれがライブで演奏する意味だ。下のメモの曲もメロディー以外は演り始めたころとは全く違う音になっているがまだ終わりは見えていない。要するに作ったばかりの曲をリリースするってのは売り物を作るって意味はあるけど曲の原型を成長する前にそのまま固定してしまう側面もあるわけで見極めが難しい。一握りの完成された作曲家は別として…俺は変化しながら成長していく音楽を見ているのが楽しいのでなかなかリリースできない(笑)

Warm up for tomorrow. - Amatuti dub drawing space - KOTA TAKI

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そんなわけで本日はTRAPSにて長時間の live ambient set。今年は雨期が早く開けるらしい。ハイシーズンの始まりだ。12月のアートフェスでのコラボレーションの話も届いた。うまくまとまると良いけどね…しっかり交渉しなくては遺憾。『外国のパフォーマーとタイのローカルアーティストのコラボレーションの企画なんだけど…』とうことで俺はタイのローカルアーティストとしてカテゴライズされているらしい(笑)