Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

記憶の彼方

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かなり前の写真を見つけた。この帽子と衣装は2006年前後だと思うが既に記憶の彼方だ。記事にはイベントの最後にJAZZシンガーとセッションしたと書いてあったが全く記憶にない(笑)この頃の俺にJAZZなどできたはずもないのでただその場で歌に合わせて弾いただけだろう。今にも増して不愛想な顔をしているが、こんな可愛げのない表情で人前で好き放題な音楽を演るとは失礼な奴だ…と今の俺は思う。少なくとも今はもう少し楽し気な顔で弾いている。

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この10年間で得たものはそれなりにあったが、それよりも多くの記憶や感覚を失ってしまったように思う。たくさんの友人も失った。俺がそれを守る努力をしていないので当たり前なのだけど、それが正しいのか間違っているのかも今はわからない。いつもながら真夜中に起きているとろくなことを考えないものだが、今は特にツアーで帰国する前だってのもあっていろいろなことを思い出さざるを得ないもので、長い間心の奥にしまい込んでいた感情が夜な夜な溢れてきて困ってしまう。特にこの世を去った先輩方や友人とはもう会えないのだという事実を確認するのが嫌だ。これが嫌で俺はあまり故郷に帰らないのかもしれない。知らない人ばかりの異国の大都会で生きることに必死になっている間はすべてを忘れていられるからだ。

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日本のニュースを読んでいると年々理解不能な内容になっていて恐怖だ。自分の国の《通常》というのがどんなものなのかもうわからなくなっているってことだ。公園に座っているだけで職質をされたりするという記事を読むと気持ちが悪いし、小さなことですぐに警察に通報したりする人と理解し合える気がまったくしない。久しぶりに皆と会って俺は失礼なく振舞えるのだろうか…とか、この街の日常ではまったく気にしていないことがとても気になる。そうして自分の国を顧みてはタイはまだ自由の国なのだな…と実感することになるのだ。日本ってのは本当に変わった国だ。そう考えると今このタイミングでツアーをやるのは逆に面白いことなのかもしれない。

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日本の民俗学で使われる《ハレ》と《ケ》という言葉があるが、ハレの日を俺は歩き続けていたいのだと思う。非日常に生きたいのだ。シンプルな現実逃避だ。とても我儘な話だけど代償として皆の持っているものは何も持っていない。普通の生活が無いので理解できないことは日々増えていくし行く先は野垂れ死にって感じだ。

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今夜もうまく眠れなかった。テンションが上がり過ぎている。