Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

波乱の一週間

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タイトルにしてみたがたくさんあって面倒なので何が波乱なのかは書かない。とりあえず今から準備をして明日のフアヒンで良い演奏をする為に身体と心を整える。心が何かに囚われていては自由で美しい演奏などできないわけで、集中することだけを考えるべきだ…というのが長年弾き歩いてきた結論だ。

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いつもツアーに行く時はほぼひとりですべてを手配する。ブッキング、移動、ゲストハウス等々。確かに面倒だけど全ては演奏までの些事をスムーズに済ませる為だ。愛想が良くても演奏が良くないと次はないってのは長年弾いててわかっている。できるだけ誰とも喋りたくないし他のことは何もしたくない。この我儘を実現するには自分で何もかもをやることしかない。よく心配されるけど自分でその状況を作っているので心配はない。それが俺が演奏するには一番良い状態ってことだ。先週もそうだったが演奏が終わった後で急に喋りだすもので酔っぱらっていると思われていることが多いがそれだけではなくて、集中から解放されて急に普通の状態になるだけだ。普段友人達と酒を飲むのは嫌いではない。今は時間と金と体力がないだけだ(笑)

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昨夜は久しぶりにギターを弾く時間が持てて嬉しかった。昼の仕事に関しては相変わらず糞みたいな出来事が多くて今日はかなりイラついていたが、外に出た瞬間に気分が晴れた。人間らしいってのはどういうことなんだろう?と最近街を歩きながらよく考える。昔から好きで上の演奏のメモでも冒頭部にサンプリングしているチャールズ・ブコウスキは場末の人々を愛していた。彼自身も酔いどれだったし自分をさらけ出して生きた。俺はバンコクに来てからは特に誰にでも心を開いているとは言えない。それどころか年々世間から解離していっている。先週演奏終わりに酔っぱらって熱弁した後に沈没した俺を皆はとても面白がった。バンコクのライブだと終わればすぐに帰ってしまうので一緒にいる時間が少なくて見せることが無い姿だったからだろう。多分それは現代的ではないが、暴力的な酔い方でない限り皆と距離が近づくのでたまには悪くないのかな…と思った。俺のように打ち解けない人間は特にだ。

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現実が波立った一週間だったからなのか、昨夜の演奏は終始ゆるやかで少し哀しい。世の中はどうしようもないことで溢れていて、それでもみんな日々生き続けなくてはいけない。人間らしいってのは悲しくても笑うってことのような気がしていて、夜が更けるとそんな音が弾きたくなる。明日はどんな音になるのかわからないが、久しぶりに落ち着いて詩を詠むように演奏できたら良いなと思っている。

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またひとり地元の先輩が亡くなった。世代も違うし凄く親しかったわけではないが、とても洒落者でかっこいい人だった。昨年、『人生はある日突然終わってしまうのだ』と思い知る出来事があってあれはある種の分岐点だった。時間はとても大切だ。明日俺はこの世にいないかもしれない。そう考えればすべての雑事は些末なことでどうでもよいことになる。

「一枚の葉にとらわれては木は見えん。一本の樹にとらわれては森は見えん。どこにも心を留めず、見るともなく全体を見る。それがどうやら『見る』ということだ」

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未だに音楽は興味深くて演奏するたびに面白い。幸せだ。