Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

日々の徒然

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Photo: inprov.2 at LIVE CUBE

ドラマーのセルジオバンコクに遊びに来て一緒にセッションをやった improv.2 からあっというまに1年が経っている…ヤバイ…急がないとやりたいことをやる前に本気で爺さんになってまいそうや。昨年末から仕込んでいたリリースツアーが来週から始まるのでバタついているが、それに加えて2019年は年頭からライブのオファーが多い。もう2件も日取りが重なって断る羽目になった。バンコク界隈なら無理やりにでも日程調整したが、一件はベトナムハノイで開催されるマニアックな即興ミュージシャンのフェスティバルへの急な出演オファー、もう一件もインドネシアだったので簡単には調整できなかった。タイ国外に出るならビザの手続きもいるし、昼の仕事の日程も急には動かせない。おまけにその日程の前後に既にバンコクでライブが入っていた。100パーセント無理となって『面白そうだけど今回は無理だわ』と返したら『じゃあ別の機会をつくろう。今度インドでもフェスやるぞ』ってな感じで話は継続中ではあるが、少し前からなんだかんだと五里霧中なやり取りをしているそのアーティスト/オーガナイザーがどこで会った誰なのかを、実は未だにぜんぜんわかっていないのである。酷い話だが本当の話だ。多分そこに行って会えば思い出すのでまあいいかって感覚だ。曖昧な話からいつのまにか現実になってライブが開催されて、その演奏が次の流れを生んで、なんだかんだで今に至るが危険を感じたことは一度もない。なぜなら、悪い奴らにとっては無名の貧乏ミュージシャンに関わってもな~んの意味もないからだ。盗られる金はないし、たとえ内臓を盗るにしても活きのいい若い奴にするだろうし(笑)俺が出会うのは音楽が好きで偏屈でかなり変わっているけど気の良い連中だ。これからも危険は出会いはないだろう。音楽のやれる場所はたいがい平和な場所だ。自力でそこに行って演奏して、自力でこのバンコクの部屋に帰って来ることさえできれば良いのである。Happy Go Lucky ってことで今年は周辺国で出演するタイミングが来ると確信している。

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さておき、昨年のセッションでのセルジオは今まで見たドラマーの中で一番感動的な腕前だった。構成力も素晴らしかったしシンバルワークの繊細さには痺れた。その彼から『俺の生徒でブエノス・アイレスでプロのミュージシャンとして活動しているMono Valleってドラマーがタイに立ち寄るので一緒にセッションしてやってよ!』というメッセージをもらって、最初は最悪ふたりだけでもいいか…ってな程度に軽く考えてセッションを組み始めたが、タイミングよくフランスから来るふたりのミュージシャンも参加したいって話になって、いつのまにやらフルメンバーの大きなセッションになってしまった。

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Photo:Mono Valle drummer (ARG)

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Photo:ETIENNE BRUNET (FRA)

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Photo;Thierry Negro (FRA)

そしてこの度もまた俺は彼等3人にまだ一度も会ったことが無いのである(笑) MONOとフランスチームもまだ会っていない。ライブの日に出会って、いきなりセッションを演り散らかして、MONOはその夜の飛行機で母国に帰るのである。フリーフォームの即興以外では決して在り得ないシチュエーション。でも、音源を聞くだけでも彼等の腕前が凄いってのはわかる。送られてきた資料の内容も世界中で演奏して来た筋金入りのプロミュージシャンの経歴だった。日本にいる頃から俺はジャムセッションにあまりベーシストを入れない。下手にベースを入れると不自由になる場合があるからだ。実は今回も断ろうかと一瞬だけ悩んだんやけど、全ては運命ってことで受け入れた結果、面白そうなベーシストが現れたのであとはファーストコンタクトを楽しみながらやり合うだけだ。今回変わり目を作れるのは俺とPOK。どちらかというとカルトミュージシャン/ノイジシャンに含まれる、『コード進行ってなんですか~?』って感じのふたりがセッションの行く先を決めることになるだろう。JUNEが出られるのかどうかまだわからないが、彼が入るとスタイリッシュ・ナンセンスでパワーは上がるのでぜんぜんバランスが変わってくる。まぁどちらにしろ面白いはずなので心配はしていない。

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作業をしつつ最近のセッションの流れについていろいろ考えていたら、フアランポーン駅のロビーを色々な国の旅人が行き交う様がリンクした。初めて行った時にすごく不思議な気分になってしばらく人の流れを眺めていた。今でもたまに近所に行くとロビーに行ってしばらく座ってみる。空港でも同じことを感じるが、移動中の人しかいないあの空間では、それぞれが好き勝手に自分の目的に向かって動いていて、そんなときの人間はとても自由気儘で動物のような様が美しい。いろいろな人種が混ざっているのでリズムも違うし動きの質も違うし…ぜんぜん飽きない。セッションで理想としている形はあんな感じだ。ミュージシャンが音を自由に奏で、それが空間と混ざり合って世界を生み出す。演奏が途絶えればその世界は消え去る。儚くも美しい音楽。

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