Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

【Sense of Nostalgia】後記

 

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ツアーが終わってバンコクに戻ってからは疲労からくる腰痛がひどくて仕事の後に机に座って作業する気になれなかった。少しマシになったのでツアー後記を書いてみる。

7/13(SAT) At Atelier Bop 《KOBE/西元町》

今年バンコクに旅行で来てライブを見てくれた地元神戸の若い友人の塚ちゃんのバンド FAKE DUB BAND が主催している MATATAKI[瞬き]というイベントに呼んでもらったことから今回のツアーの企画は始まった。西元町の駅から続く地下道にある西元町BOPは俺が10代の頃からウロウロしていた元町高架下商店街を思い出させるようなカオスな雰囲気の空間で、『神戸に帰ってきたなぁ』って感じでテンションが上がった。今回のツアー中はだいぶ前に亡くなってしまった神戸の先輩ブルースギタリストの愛機を弾かせてもらった。俺のギターと同じサンバーストのES-335だったが、弾いてみると繊細で女性的なイメージ。コンディションの良さに故人のギターへの愛着を感じて気合が入った。俺のギターは何度かネックが折れているので音は伸びないしコードは響き切らずチューニングもグダグダでフレットも削れまくっている…《無理を聞いてくれる相棒》というと聞こえが良過ぎるが、ろくにメンテもせずに弾き倒しているわけで、そのあまりのコンディションの違いに申し訳なくなって帰ったら手入れしてやらなくては…といきなり反省。俺の335は間違いなく《男》…というよりほぼ《俺》だ(笑)

この日の出演者は皆良い演奏をしていた。DJもそれぞれ個性があってええ感じ。いつも衣装協力してくれてるSUNのオーナーDJ NISHIMURAくんのプレイは大人にしかできないプレイで好きだな。ライブは全部良かった。最初に出たサルバトーレのセットは短かった。良い音だったのでもっと長く聞きたかった。その後も来場者は増えて出演者も入れるとかなりの人数が狭い空間にひしめき合っていた。この日はアンビエントをやるつもりで座って演奏を始めたが、目の前に人の壁がある感じでその圧力半端なし(笑) PAの音が割れてしまっていたのもあって繊細さの欠片もない荒っぽい演奏になったが、みんな楽しそうで良いパーティーだった。アッパーなグルーブを叩けるドラマーを呼んでおけば、めちゃめちゃ盛り上がっただろうな。FAKE DUB BANDも良い音出してたな。お客さんもえらく盛り上がってた。大盛況で素晴らしい。ツアー1本目がこのパーティーで良かった。楽しかったのであっという間に終わってしまったのは残念。下の写真のライブペイントはコンチョロックの作品。一緒にバンコクに帰ってきた。すごく気に入って『めちゃ良い絵やなぁ』とずっと言っていたら別のライブの日に持ってきてくれた。とても嬉しい。早速額に入れて部屋に飾ろう。

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7/14(SUN) At Starting Over 《KOBE/三宮》 

この日は10代の頃からお世話になっていたヨシロウさんとサチさんのお店でソロ。普段は歌モノを演っている老舗ライブバー。俺のソロは変わったスタイルだし歌もないし基本は即興なので今のスタイルでは一度も演ったことがなかった。今回はせっかく久しぶりの帰国なので、ふたりや昔からの知り合いの先輩方にも見てもらおうと思って出演した。人数は少ないながらも来てくれたみなさんは楽しんでくれたようで良かった。最後は店主でギタリストのヨシロウさんとセッション。話しをするより演奏する方がその人の状態がわかるような気がする今日この頃…まあいつもみんな酔っ払っててあまりまともな話はできないんだけど…ずっと変わらない音楽への愛情を感じて『今回は演って良かったな…』と機嫌良く終了。終了後にふたりに連れられて行った老舗トルコ料理イスタンブールで店主のおもろいトルコ人のエロ話等々を聞きつつ遅い夕食を食べて酔っぱらって帰った。

ライブとは関係ないが、やっぱり日本の飯は最高。何を食っても美味い。

7/15(MON) 祝日 At environment 0g [ zero-gauge ] 《OSAKA/南堀江》 

この日はビジュアル担当にもう長い付き合いの盟友 仙石彬人を迎えてのファーストセッション。出演者はマニアックな大阪のアンビエントミュージシャン達。みんなオタク具合を感じる深~い音だった…がしかし、宣伝が遅かったのでとにかくぜんぜん人が来ない(笑)バンコクで俺を見て帰国していると聞いたので…と駆けつけてくれたライブ好きの女性の存在にかなり救われた。お客さんが少ない+出演者は皆マニアック+音響機材は完璧 +撮影してる = 轟音ノイズやりたい放題 …というわけで、この日は轟音アブストラクトノイズセットを敢行。とりあえず轟音は楽しいのである。後ほど下のアーティスト写真を見て『これが撮れただけでもええかな…』と思ったりしたが、最近の俺は年月を経てお客さんが多いと空気を読んで意外とまともなセットをやるので、以前は《皆殺しノイズ》と悪名高かったトリップノイズが好きな男連中は人のいなそうなライブに来る方が面白いだろう(笑)この日は徹頭徹尾即興演奏で何を演奏したかまったく憶えていない。後ほど映像で確認する予定。

ç»åã«å«ã¾ãã¦ããå¯è½æ§ããããã®:2人ãä»ç³ 彬人ãããå«ããç«ã£ã¦ã(è¤æ°ã®äºº)

ライブ動画

https://www.facebook.com/akito1059/videos/2302714336475852/

https://www.facebook.com/akito1059/videos/2302714349809184/

https://www.facebook.com/akito1059/videos/2302714369809182/

7/16(TUE)  7:30 pm ~ Midnight At BAR PARKA HOLIC《OSAKA/心斎橋》

ミナミのど真ん中にあるライブバーにてソロ。この場所はこの日が初出演。店に向かう途中、中国語と韓国語ばかり聞こえて大阪弁が聞こえないことに驚いた。ここはどこ?って感じだった。この日の共演はシンガーのタミーとシンガー二人の男女ユニット大地の種。この前バンコクに旅行に来ていて、大きな輪のマサさんの紹介で軽くバンコクを案内して一緒に飲んだ縁でイベントを組んでくれた。お客さんは初めて会う人が多くて嬉しくなった。イベントに合わせて冒頭に長めのMC、途中でもMCが入るという俺にしてはとても珍しいセット。映像を録ってくれていたので見てみたがMCは相変わらず下手糞だった(笑)あと、大阪だしいつもよりサービスしなくちゃって感じでかなり全体のテンポも展開も速い。最近は自由に弾くと軽~く1時間を超えてしまうので持ち時間にいろいろ詰め込もうとした結果慌ただしくなっている感じ。途中で日本のアニソン的な高速テクノチューンを演っていたが初めて聞く曲調で面白かった。自分の演奏を後で聞いて新鮮と感じるのは悪くない感じ。今年の前半はカテゴリーのはっきりしたイベントでの演奏が多かったのでハードに掘り下げていたけど、先月あたりからソロでいろいろな種類のお客さんの前で弾いたのでボーダーレスにどんなところでも気にせず自分のスタイルで弾き歩いていた時の柔軟な発想が戻ってきている。もちろんすべての経験が糧になるが、すこしイメージが偏りすぎていたのだな…とこのあたりで気持ちを少し変えた。気持ち良ければPOPSでもノイズでもなんでもよいのだ。

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この日はギアーアンプが無い小屋だったので、前日にネットで見つけた中古の Mooer Micro Preamp 008 を神戸の楽器屋まで買いに行って試奏して使えそうだったので購入した。世話をしてくれた店員さんと後ほど話していて『タイから帰ってきてるんだ』と言ったら、彼はアンビエントギタリストで『名前は?』と聞くので『瀧です』『ああ!仙石さんと一緒にやる方ですね!』ってな感じでSNSの拡散力ってのはすごいもんだ。

7/17(WED)  At Marco Nostalgy 《OSAKA》

前回の帰国時の中津から谷町に移転したマルコノスタルジにあるグヤトーンのかなりレアなギターアンプは今回使った機材の中で最高に相性が良かった。リハで音を出して『おお、相性最高!』と狂喜してしばらく個人的な楽しみとして弾き続けたくらいだ。ただ、残念ながらお客さんがツアー中で一番少なかった。共演は大阪らしいブルースユニットで面白い子たちだったが、とにかく宣伝が為されていなかったようで残念無念。仕方がないのでFBでライブ中継。人が少ないとイメージが散漫になりがちなのでバンコクの友人たちに向けて中継してみたのだ。いろいろあるが、すべては旅の一コマってことでそれはそれでよい。ただ、流石に欲求不満は残ったようで、朝起きてから再び機材をセッティングして薄暗い地下空間でひとり楽しく数時間の演奏…気づいたら2時間以上経っていて『俺の病気も極まってきたなぁ』と思った次第。結局機材と時間があれば何をおいてもギターを弾くのである。どこにいてもあまり行動に変化がない単純な自分に少し呆れた。この日から本格的に雨が降りだして移動が大変になってきた。

ライブ動画 

https://www.facebook.com/nodouta/videos/2881475771925288/

https://www.facebook.com/kota.taki/videos/2122625297841907/?lst=100002833724446%3A100002833724446%3A1564276847

7/18(THU) 20:00~Midnight At 大きな輪 《OSAKA/心斎橋》 

味園ビルから宗右衛門町界隈に移転した大きな輪に初めての出演。店主のマサさんとはもう長い付き合いなので素晴らしいイベントオーガナイズだった。しっかり聞いてくれるお客さんも含めて場の空気がとても良いので演奏するにあたっての心配がまったくないってのは本当にありがたい。共演はシンガーでギタリストの東島悠起くん。彼は歌もギターもハイレベルだった。そして男前。なのになぜか腰が低くて過剰に謙虚でそれがMCの時ちょっとした《ぼやき》になっていてちょっとおもろい。大阪の男前はしゃべりもできないといけないのである。流石ミナミを主戦場にしているだけのことはある。ギタースキルも完全に俺の負けだったがそこはベテランなのでなんとかする(笑)なんせこの日のライブにはトランぺッターの道下かつみさんという素晴らしいパートナーが来てくれていた。流石の流麗なトーンを披露してくれて一緒に演奏するのはとても楽しかった。おかげでフリーフォームの面白さ、演奏者の歓びが会場のみんなに伝わっていた。前回に続いての共演で進化したセッションが実現できて幸せな時間だった。最後のトリオセッションでとにかく楽しそうにギターソロ弾いている時の東島くんはこの日一番ええ顔してたな。

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7/19(FRI)  7pm - Midnight At UrBANGUILD Kyoto《KYOTO/木屋町 

この日は京都にて映像と音楽というコンセプトでの3組のパフォーマンス。転換時にも映画のシーンをサウンド込みでcollageした素晴らしいパフォーマンスが演じられていて始まってから終わるまで素晴らしいイベントだった。シリーズで続いているようなので機会があれば行ってみてほしい。共演の若いアーティスト達はみんな素晴らしかったけど、俺が特にぶっ飛ばされた映画の collage はレギュラーで毎回このイベントで見られるようなので是非是非見てほしい。一見の価値がある。俺と彬人くんとのセットはこの日も徹頭徹尾即興演奏だったので何を弾いたかあまり憶えていない。憶えているのは最後に轟音エンディングかやんわり着地かで迷っているうちに着地してしまった…という、ここのところたまにやってしまう間抜けな着地だったってことくらいだ。見ていた人によると内容は良かったらしいが…最後に迷うのは遺憾。面倒なのでこれからは迷ったら轟音フィードバックのエンディングってことで決めておく。終わってから彬人くんや同じ名前のギタリスト山内弘太くん達と飯を食ってなんだかんだ言っていたら朝になっていてそのまま神戸に戻った。

ライブ動画

https://www.facebook.com/akito1059/videos/2311022238978395/

https://www.facebook.com/akito1059/videos/2311022042311748/

https://www.facebook.com/akito1059/videos/2311022065645079/

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7/20(SAT) 9pm till late At NAGOMI BAR 《KOBE/中山手》

この夜は若い頃からのクレイジーな親友トールのオーガナイズでとにかく深~い音の男っぽいイベント。出番は深夜2時過ぎ。とにかく黒い空間がベース音で埋まっていて小屋全体がずっと唸りまくっているジャンクでインディペンデントな雰囲気は90年代後半の混沌としていたクラブ空間に飛ばされたような感覚だった。この日のセットは思いっきりノイズセットを演ろうと考えていたが、共演のみんなが既にスタートからハードな音を出し続けていたので俺は少し違うイメージの音を出したくなった。内容はあまり憶えていないがとても個人的な演奏をした。バンコクの今やこの街での思い出や旅でたくさんの友人と再会して心に浮かんだいろいろな感情をフィルターを通さずにそのまま放出した感じだった。前日ほぼ寝ていなかったので出番まで低音渦巻く真っ暗なバックヤードで寝ていたが、その状況も含めて懐かしくて居心地が良くて温かい神戸の夜だった。この日は写真がない。会場が暗すぎたからだろう(笑)

トールちゃんありがとう。また遊ぼうぜ。

7/21(SUN) At Bonna roo cafe 《KOBE/須磨》 

ツアーファイナルは数年間住んでいた須磨にある Bonna roo cafe で仙石彬人とのセッション。店主のトモヤに無理を言ってこの日にやらせてもらったが、やっぱり最後はここで良かった。感謝。この日は会いたいけどスケジュールの都合で今回は会えないな…と思っていた昔馴染みのミュージシャンや友人がたくさん見に来てくれていてとにかく嬉しかった。重たい機材と共に9日間動き続けて腰がえらいことになっていたが…(笑)とりあえず近所で買ってきたコルセットを巻いてのこの日のステージは神戸で活動していたころによく演奏していた曲を織り交ぜてのゆったりした1時間のサウンドスケープ。彬人くんとのセッションも神戸時代から長年の付き合いなので何も言わなくてもコンビネーションは熟成されている。【Sense of Nostalgia】というツアータイトルにふさわしい濃密な1時間はあっという間に過ぎて、万感の思いを込めた最後の1音を弾いたその時、その1音はミスタッチ…ああぁぁぁ。悔やまれるが間抜けな俺らしいっちゃ俺らしい。てなわけで苦笑いでファイナルのソロは終了。最後はセッション。共演の Isa くんはこれまた歌もギターもハイレベルで曲も美しかった。大阪に続いて『ほんまにギター上手いなぁ…』とこの日も感心していた。『歌い手の弾くギターよりスキルの劣るギタリストってどないやねん…』と今回も反省しきりである。修行が足らぬ。

そんなわけで9日間連続のライブは終了し、帰り着いたバンコクでは腰痛でえらいことになっているが、まあそれはそのうち治るだろう。普段から体を鍛えておく必要があるってのは間違いない。まずは旅で得た新たなイメージを形にしていく日々が始まる。そしてまた次の旅へ。

 

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KOTA TAKI [Into a dose] original cassette tape

unfamiliarenvironments.bandcamp.com

kotaamatutitakimanopnakornchai.bandcamp.com