Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

フアヒンの夜

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面白い写真。良い雰囲気だったことが見える。この絵面のことを想像して股関節痛にもかかわらず胡坐をかいて座った俺を褒めて欲しい。ほんまに痛いのでこの後すぐにステージから逃げたけど(笑)俺の後ろで太鼓を叩いている女の子は日本人。即興音楽のことをリサーチするために2ヶ月間タイに来ているらしい。最初タイ人だと思っていて英語で話しかけていた。即興音楽のリサーチに来たのにコピーバンドが溢れているフアヒンにいるのはなぜなんだろう…?と少し不思議な気分になったが、このイベント自体は即興演奏の要素が強かったので彼女にとっては良い材料になっただろう。

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ソロは結構大変だった。とりあえず近所が住宅街なので音量が出せなくてしんどかったが、できるだけの努力はしたし結果は悪くなかったようなので及第点。音響との兼ね合いについては頼まれたらどこでも弾くというスタイルで行く限り常に付きまとうので、現状の最終的な課題はアンプを使わずに自分の音色を作ることなんだな…と痛感した。もちろんデカいアンプでやるのが一番音は良いが、これからも街で弾き続ける為には現代の状況にアジャストしなくてはいけない。単に機材の問題なので金次第で解決できるわけで、とりあえず機材の研究から始める。旧タイプのおっさんギタリストは現代の機材をぜんぜん知らないのである。詳しい人がいれば俺に合う方法を教えて欲しい。

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最後のセッションでは前述の日本人パーカッショニストとタイ人のトランペッターも入って良い演奏者がたくさんいたので、俺は『美しい水面に石を投げる空気の読めない奴』を演った。上手いミュージシャン達のセッションってのは波風を立てないと美しいけど何も起こらなかったりするもんで、経験上《壊し屋》が必要なのだ。人間の本質はイレギュラーな状況で初めて表出するもんなので、お客さんにとってはその方が面白いと思っている。なので、ミュージシャンが気持ちよさそうに形を作った瞬間に俺は石を投げ入れる。これは実は楽しい役目だ(笑)やり過ぎると怒られるけど。

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ランドルフは俺とは真逆みたいなギタリストだけど、ホンマに上手くて音質のクオリティーは最高級。歌も歌うしMCもしっかりできるエンターテイナー。今が旬のクイーンのカバー曲で演奏だけでなくコーラスパートもペダルを使って一人で全部やっていた。あれはエグい。とにかくアレンジが練りに練ってあってめっちゃプロフェッショナル。イベント終わりでなんだかんだと話していて『KOTAみたいに演奏しようと挑戦してみたができなかった。君の演奏スタイルは本当にリスキーだ』と彼は笑っていたが、俺には彼のような演奏はとてもできない。あれはスーパースキルだ。彼は世界のどんな場所でも演奏仕事ができるだろう。ループマシンを駆使したソロで彼を超えるマニアックなカバー演奏は未だ見たことが無い。流石はアジアのループソサエティーのリーダーって感じだ。真逆のアプローチなのでお互い興味深いんだろう。

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今月は本当にたくさんの友人や新しい音楽好きのみなさんとの出会いがあったもので、月初めのミニツアーが遠い昔のような気分だ。今月はとにかくたくさん弾いたがあまり納得がいかなかった日の演奏が評判が良いという傾向が未だに理解できない。フアヒンの演奏の短い映像も反応が今までになく良い。わけがわからん…寝よう。