Never Ending Summer

バンコク在住日本人ギタリストの日記

Rhimpa Festival 後記

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写真の俺は月を見上げている。雲ひとつ無い夜空でとても綺麗だった。初めて参加したタイのローカルフェス Rhimpa Festival はとても素晴らしい雰囲気だった。すごくタイらしい自由で緩やかな雰囲気で天気も最高。風が気持ち良くてメインステージはものすごい人でめちゃくちゃ盛り上がっていて歓声がカオヤイの夜空に響き渡っていて、出番の後に観に行ったT-BONEのステージの光景は感動的だった。

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当日は朝出発してカオヤイについてすぐにサウンドチェックを終えて用意されていたホテルにチェックイン。シャワーを浴びて準備を整えて会場に戻ると既にフェスは始まっていてたくさんのお客さんが会場で思い思いに過ごしていた。

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バックステージに着いて車を降りてしばらくするとJUNEさんが近づいてきて、

『KOTA、今日は MAX JENMANA ってタイのポップスターがギターで参加するって』

俺はタイのスターをあまり知らないので、

『ああそう、俺たちはいつも通りで良いんだろ?』

『ああ、別にいい。でもイベンターが何をやらせたいのかよくわからない』

『まあいいじゃん。今さら考えても無駄だし』

『(笑)』

てなやりとりがあって、挨拶をする為にまさにその時間にメインステージに出ていたMAXのステージを見に行った。ステージを見るとパーカッションは最近2年ほど会っていなかったKickyだった。以前は可愛らしかったが、今はとても美しい女性になっていた。ベーシストを見ると…あれ?この子知ってるぞ!?2年ほど前に出演したポエトリーリーディングのイベントで出会ったTempareture in Septemberというアーティストだった。ベースを弾くのは知っていたが、『思いっ切りプロミュージシャンやないかい!』とひとり突っ込み。以前一度セッションしようと言われたけどまだできていなかったのでけっこう本気でビックリした。ライブを眺めていたらタイの女の子たちがキャーキャー騒いでいて、『おお!マジでスターやわ…てかホンマにあの人が俺たちのステージに出るの?』と思わずJUNEさんに聞いたくらいPOPな曲調。今回は俺たちの出た小さめのステージの方がロック系が多くてメインステージはPOPSメインだった。まさにタイの芸能界って感じで俺でも知っている有名なバンドが多数出演していた。出演者はみんなシェイプされていて衣装もガッチリ、ステージングもパーフェクトって感じでバックステージは面白かった。

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なんだかんだで出番が近づいてきて、俺たちの前は2バンド続いてアイドル的人気のあるバンドだった。ステージ前には女の子がたくさん張り付いている。ステージ横から彼等のショーを見ながら『めちゃ面白い状況やなぁ』と思っていた。そのうちどこかを彷徨っていたJUNEさんが帰って来た。

『KOTA、もうすぐだぞ』

『ああ、わかった。今日のステージめちゃ面白い。みんなプロのエンターテイナーやね。お客さん女の子ばっかりやで。アイドルってスゴイね。』

『スゴイよね。でも俺たちの時にはみんないなくなるよ(笑)』

『だろうね(笑)』

てな感じでステージへ。ロケーションは最高。真っ黒な山肌にライトが模様を作っていて真上に月が出ていた。

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ステージからぐるりとあたりを見回して真上に出ていた月を見上げると、5年間ただただ弾き続けてメインじゃないけど一応この国の一番上のカテゴリーのステージに辿り着いたなぁ…とけっこう感慨深かった。まあ引っ張り上げてくれたタイの友人達のおかげでぜんぜん俺の手柄ではないんだけど、決まった曲を全く演奏しない特殊ギタリストのままでよくここに上がれたもんだ…と珍しく自分を褒めたくなった。

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左がMAX、右がTempareture in September。とにかくMAXはめちゃめちゃハンサム。ギターもめちゃうまかった。ただいきなり即興演奏ってのは双方ともに無茶ぶりだろう(笑)終わってから『初めて聞いた音楽だったから難しかった…』と言っていたしステージ上でも少し悩んでいるように見えた。だがしかし、なんだか評判は良かった。外国人の出演者のほぼいないローカルフェスなので演奏するまでは『お前だれやねん?』って空気だったけど、芸能事務所の社長やらミュージシャン達の態度が終わった後で変わったので、どうやら結果は悪くなかったようだ。めちゃくちゃショービジネスって感じの空間だったので、スタイルを変えずにやり切って評価されたのはとても嬉しい。以前から思い描いていたことが一部実現したってことだ。俺のやりたかったのはアカデミックな実験音楽ではなくて抽象的で誰も知らないのに気持ち良いのでなぜか聞いてしまう合法ドラッグのようなギター…なので、たくさんの普通のお客さんの前でやるのが一番腕が磨けるし嬉しい。今回の無茶ぶりは難しかったけど、挑戦するのはめちゃめちゃ楽しかった。JUNEさんも久しぶりに楽しそうにやっていた。めっちゃ歌ってたし(笑)

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一緒に行っていた映像ダイレクターふたりも『すげえ面白かった!!』と盛り上がっていて、バックステージと客席を行き来しながらみんなでべろべろになるまで飲んだ。英語のできない子もいたので俺のタイ語スキルでは話が通じないはずなんだけど、友人が間に入ったりして話しているうちになんだかんだで相談みたいになって、最終的にプロの映像作家とこれまたプロの若いミュージシャンに『大丈夫だ!自分を信じて突き進め!!Keep going brother !!You can do it !!』と超ハイテンションな助言をする身の程知らずなアンダーグラウンドなギタリスト。向こうも『おうやるぜ!!』と盛り上がっていた。ええ感じで飲んでる時の酒の力って偉大。テンションだけでも意志は通じるもんだ。言うだけ言ってその後3時過ぎに俺は車で沈没。次に起こされたのは朝5時でホテルの前だった。ライブ後の俺の様子はだいぶ面白かったらしくて、今日の帰りの車では『Keep going brother!!』ってのが流行っていた(笑)JUNEさんにも『KOTA、昨日どんだけ飲んだんだ?面白かったけど』と言われて苦笑い。

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帰ってから今回呼んでくれたMOOKからメッセージが届いた。

See you next Festival !!

まだ俺の音楽に続きはあるようだ。